AGAの病院治療AGA(男性型脱毛症)

保険はAGA治療に適用するの?

AGAの病院治療

現在は、多くの病院でAGAの検査や治療を受けられるだけでなく、インターネットなどで様々な情報が公開されています。しかし費用面となると、それほど詳しく語られていません。ここでは、AGA治療が健康保険の適用となるかどうかを含め、薬や治療内容による違いなど、AGA治療のためにかかる費用について詳しく解説していきます。

AGAは”病院治療”ができる薄毛症状

現在、AGAの発症メカニズムは、ほぼ解明されています。毛髪の元になる毛母細胞の増殖が抑えられてしまうしくみの薄毛症状です。つまり、毛髪の成長周期(ヘアサイクル)の乱れが原因になります。脱毛ホルモンとも呼ばれる「ジヒドロテストステロン」が、毛乳頭にある「アンドロゲン受容体」との結合で、ヘアサイクルの乱れは起こります。成長する前に毛髪が抜け落ちてしまうため、次第に生える力を失ってしまうわけです。

専門外来や皮膚科でのAGA治療が可能です

このメカニズムに沿った検査や治療が広く普及している昨今。専門外来だけではなく皮膚科でも対応している病院があるなど、AGAは治療できる疾患のひとつと言っても言い過ぎではありません。

AGA治療の内容で金額が変わる

AGAの治療方法は、当然ながらひとつではありません。飲み薬や塗り薬、注射はもちろん、その病院オリジナルの治療法なども専門外来には用意されています。治療結果が追いつかなかった場合、最後の手段として植毛という選択肢を揃えている医院もあります。それぞれ治療メニューの相場や特徴を見て行きます。

「飲み薬」がAGA治療のスタンダード

AGA治療といえば、この飲み薬による治療が一般的です。中でも「プロペシア」という薬剤がもっとも使用されており、有効成分の「フィナステリド」が「ジヒドロテストステロン」の生成を抑制し、AGAの発症や進行を抑えられます。その効果は厚生労働省にも認められており、この薬のおかげでAGA治療に希望の光が灯ったと言っても過言ではありません。

「プロペシア」を医療機関で処方してもらった場合の相場は、1ヶ月分の28錠で7,000円から1万円ほどになります。もちろん、これは薬代だけですので、診察料などを加えると9,000円から12,000円ほどになるでしょう。AGA治療は薬を飲み続ける必要がありますので、この薬代を毎月継続するのは大きな負担になってしまう可能性も。そんな場合に助かるジェネリック医薬品も、今は幾つか出てきています。

AGA治療のジェネリック医薬品「ファイザー」、処方箋が必要です

相場は28錠で5,000円から7,000円程度です。ファイザー製薬が販売しているプロペシアの正規ジェネリック医薬品で、「プロペシア」とまったく同じ成分、同じ分量になっています。ただし、製造方法が違っており、臨床データも少ないことから、副作用の発生率などは未知数です。また流通し始めて日が浅い(2015年4月6日に解禁)ためか、それほど安価でもありません。医師の処方箋がなければ買うことができない処方薬ですから、現在のところ日本国内でのみ流通しているため、個人輸入も不可能です。

「フィンペシア」は非正規ジェネリック医薬品も、含有量がフィナスドと同等

相場は、個人輸入で100錠あたり3,200円程度です。インドのシプラ社が販売しているフィナステリドを主成分とするAGA治療薬です。「プロペシア」の正規ジェネリックではありませんがフィナステリドの含有量は同じで、同様の効果が期待できます。

インド発の非正規ジェネリック「フィナバルド」

相場価格は、個人輸入で100錠あたり3,200円程度です。インドのEast Pharma社が販売しているAGA治療薬で、「フィンペシア」と同じくフィナステリドを主成分としたAGA治療薬です。こちらも正規ジェネリックではありません。また、フィンペシアにはキノリンイエロー(※)というコーティング剤が使われているのですが、フィナバルドには含まれていません。

(※)キノリンイエローは、発がん性が疑われている物質で、日本では医薬品などへの添加が禁止されています。

「フィナロ」は最安値も、フィナステリドが主成分です

相場は、個人輸入で100錠あたり2,500円程度です。現在提供されているプロペシアのジェネリック医薬品の中では圧倒的な安さを誇っています。インドのジェネリック医薬品会社インタス社が生産供給している、フィナステリドを主成分とするAGA治療薬です。こちらも、「プロペシア」の正規ジェネリックではありませんが、上述のフィンペシアと成分構造が同じですので、十分に期待できるものです。

気になる薄毛ポイントに「塗布」タイプのAGA治療薬

AGA治療薬として使われる塗り薬は、「リアップ」や「ロゲイン」が有名でしょう。どちらも「ミノキシジル」という有効成分が入っており、頭皮に直接塗ることで頭皮の毛細血管を広げて血流を促進。毛母細胞に酸素と栄養を送り込んで育毛しようというものです。上記の飲み薬と併用することで、AGAの進行を抑えながら育毛できます。

価格相場としては、リアップが、60ml(1ヶ月分)で7,000円から8,000円程度。同量のロゲインだと、2,500円ほどで購入することができます。

「発毛注射」は、頭皮に直接薬液を注入します

AGAの発毛注射AGA専門外来で行われていることが多いAGA治療です。ミノキシジルやフィナステリド、栄養成分などを配合した薬液を直接頭皮に注射します。飲み薬のように分散したり、塗り薬のように吸収され難かったりせず、効率的に薬を作用させられるため、高い効果を求められると見られています。特に認知されている塗り薬のミノキシジルはかぶれやかゆみなど副作用が発生することもあり、注射がもっとも効率的に働くと言われています。

相場は、30,000円から40,000円程度です。ただし、一部の医療機関で実施している幹細胞から作られた成長因子などを含んだ発毛注射である「HARG療法」の場合は、90,000円程度と非常に高価です。価格は高額ですが、様々なアミノ酸や栄養素を含むプロカインなどの成長成分の発毛効果は、非常に高いと言われています。

毛母細胞が死んでしまったら……?「植毛」という方法もあります

フィナステリドやミノキシジルで効果があるのは、まだ毛母細胞が生きている場合のみです。もし、すべての毛母細胞が死んでしまっていては増殖を促しても、栄養や酸素を送っても、何の意味もありません。もしそうなってしまっていた場合は、新たに毛を植えていくしかありません。

植毛は1本いくらという値段になります。相場的には1本300円から1,000円で、もちろん1本だけ植毛することはありませんので、それだけ値段は跳ね上がります。植毛の範囲が広い人で、3,000本くらいと言われていますので、その場合は90万円から300万円ほどかかる計算になります。

保険適用ではないAGA治療だから高額です

ここまでに紹介した相場を見て、一般的には高いと感じると思います。なぜ、AGA治療にはお金がかかるのでしょうか。そもそも病院で病気の治療を受けるのに、これだけの金額を払ったことのある人は、ほとんどいないと思います。

その理由とは

簡単に説明すると、「医療保険が適用されないから」です。私たちが病院で診察を受けて数百円の支払いで済むのは、医療保険のおかげです。この医療保険が適用されることで、私たちは実際にかかったお金の3割程度の負担だけで済むようになっているのです。

しかし、AGA治療については、その医療保険が適用されません。それは、AGAという疾患が、ED治療やインプラントなどと同じように、医療保険の対象外になっているからです。そのため、AGA治療を受けた人が治療費の全額を負担することになるのです。

また、医療保険の対象外ということで、治療行為の価格に制限などは設けられていません。つまり、各病院が独自に設定した価格になっているのです。そのため、病院によっては非常に高額になる可能性があります。ただし、今では多くの情報が出回って相場が出来上がっていますので、極端に差がある価格帯は減ってきています。

高額医療費控除は?

窓口で全額負担するのは仕方がないとして、せめて高額医療費控除ができれば、もしかしたら確定申告することで多少のお金が取り戻せるかもしれません。

しかしAGA治療については、医療費控除の適用対象外とされています(所得税法で定められています)。ただしそれは、AGA治療が美容整形と同じ「容姿を美化、もしくは容貌を変える」行為と認識されているからです。そのため、AGA治療は美容整形と同じく医療費控除適用対象外であると解釈されるのです。

しかし、AGA治療を治療行為と解釈されれば、医療費控除の適用対象となる可能性もあります。しかしそれは確定申告時に税務署の職員がどう認識するかにかかっています。もし担当してくれた税務署の職員が認めてくれれば、AGA治療でかかった費用を医療費控除として計上できるでしょう。確定申告の準備を綿密に行い、きちんと説明できれば、うまくいくかもしれません。