AGA(男性型脱毛症)は、頭頂部や左右の前頭部から薄くなってくるのが特徴です。薄毛が気になる。洗髪時に抜け毛が多い。なかなか相談しにくいAGAの悩みを人知れず抱えている方も多いのではないでしょうか。
近年では、AGAの治療を専門に行うクリニックも出現してきました。また、自力で身体の内部から環境を整えることによる改善も可能です。一人で悩みを抱え込まないで、前向きに取り組んでいきましょう。
この記事で分かること
AGAを自分だけで改善するのは困難?
AGA改善の様々な方法
現在、薄毛に悩んでいる人の数は、1千200万人とされています。AGAを改善するべく、近年では進行を食い止める薬品が厚生労働省の認可を受けて国内でも使用されるようになっています。服用中の患者さんの3年間の追跡調査によりますと、脱毛の進行が見られなかったという結果も報告されています。
これらの薬剤には、内服、塗布、注射などがあります。また、生活習慣の見直しが大きな効果をもたらす場合もあります。具体的には、頭皮を清潔に保つ、食生活の改善、ウォーキングなどです。ストレスを減らし、トータルに身体の内側から髪の生育環境を整えることで悩みの種のAGAを改善していきましょう。
医学的確証がなく、不明瞭な改善方法
AGAについては各人個別に、体質、素質、遺伝、生活習慣によっても違いますので、自ずと治療法も異なってきます。その点から、確証があり決め手となる方法は、今のところ存在しないのが実情です。
そのため各個人にあったAGA対策への取り組みが肝要になってきます。言わば身体の基幹部からのトータルな改善です。薬に頼らず発毛促進のために日々のケアや、心身を整えていくことが重要課題になってきます。
医学的に確証のある育毛法は、フィナステリドとミノキシジル
医療機関で処方される2種類の育毛薬
男性型脱毛症も原因にアプローチする「フィナステリド」
毛髪の再生を目的としたAGA治療薬として、抜け毛を改善したい場合に用いられるのがフィナステリドです。この製剤は、もともと前立腺肥大症に使われてきた治療薬でした。ところが副作用に発毛効果が見られ、その後の研究結果で、AGA治療に効果があると判明。1997年にFADに認可されました。そんな男性ホルモンにより発毛が阻止され、正常な髪の発育を促進する成分です。
服用患者の98%に期待できる効果が!
フィナステリドには、男性型脱毛症の原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制する働きがあります。これにより発毛阻害がなくなり、服用した患者の98%に改善が見らる結果が出ています。また3年にわたる調査の結果、AGAの進行が認められなかったという報告も出ています。
性欲減退や肝機能障害などの副作用に気をつけて
副作用としては性欲減退、勃起不全、継続投与による肝機能障害が出ることもあります。しかし、頻度、程度共に軽く発現率は数%です。それでも少しでもそのような兆候が感じられた場合は医師に相談しましょう。日頃から時期を定めて血液検査、肝エコーを行っている方であれば心配はいりません。
血管拡張剤の副作用・多毛症が生きた「ミノキシジル」
ミノキシジルは毛母細胞に直接働きかけ、発毛を促すお薬です。こちらもフィナステリド同様に発毛目的ではなく、もともと血管拡張剤として開発され高血圧の治療薬として使われてきました。その服用している患者さんの中に、多毛症となる事例が多く見られたのです。結果、その発毛効果に注目が集まった製剤です。後に、正式にFDAに薄毛治療薬として認可されました。
ミノキシジルには血管を拡張して血行を促進する効果があります。それにより毛母細胞が活性化され、発毛効果が期待できるものです。副作用としては、もともと高血圧の薬であることから血圧が下がりすぎる傾向にあるため、高血圧の治療中の人や低血圧の人には不向きでしょう。
血流への働きかけは日常生活からも可能です
AGA治療において血行の促進が目的となれば、日常のウォーキングやストレスの発散と軽減、自律神経を安定させることで薬に頼らずとも効果を上げることができるものです。
個人輸入の育毛薬は危険
コンピュータ文化が発展している現在は、インターネットに流通している海外の育毛薬が簡単に入手できます。しかし正規の流通ではないこともあり、検品が行なわれているのかどうかすらも怪しい薬品ですから、おすすめすることはできません。
副作用の懸念はもちろん、それ以上に厚生労働省の認可を受けていないことがネックです。また、その輸入品は正規品でない可能性も否めません。
薬品で副作用が出たような場合は、「医薬品副作用被害救済制度」を受けられますが、輸入品は対象外となっています。服用により、万が一デメリットが出た場合でも、個人輸入した薬品については国も制度も守ってくれません。それは自己責任ということになってしまいます。
AGA治療しながら自分でできるAGA改善方法
栄養のバランスを考えた食事に改善
髪によい食べ物としてトマトや海草類、神経を鎮めストレスに効果的なトリプトファンを含む豚肉など、食材それぞれの効能が謳われることがよくあります。しかし、食材それぞれを分析的に考えず、野菜や魚類、肉類をバランスよく摂取することが肝要なのです。青魚のDHCが髪によいからといって、そればかり食べる人もいます。でも、それでは却って栄養が偏ってしまうハメに……。バランスよく食べるということは偏りのない食生活を心がけることです。
食生活の安定が心身をリラックスへと導きます
食生活が安定してくると、心身のリラックス感を得られるようになるでしょう。安らぎモードの副交感神経が働いてくるため、気持ちもゆったりとして1日の緊張がほぐれていきます。このことは安心感を生み、ストレスの軽減にとても寄与します。
ひいては毛髪にも優しい在り方が取れるということです。
なぜ個々の栄養素や食材にこだわらないほうが良いかというと、髪がケラチンタンパク質で構成されているからといって、タンパク質を摂取したほうが良いかといえば、人間の身体のしくみは実際それほど単純なものではないからです。
つまり摂取したビタミン類や酸素、タンパク質などは代謝の過程で変化するからです。タンパク質にしても、そのままでは吸収されず、ビタミンやミネラルと組み合わさることによりアミノ酸に分解されるといった流れがあります。ビタミン類を摂っても、単体では吸収率が悪いので個々だけの栄養素摂取はナンセンスといえます。色々なものを偏りのなく楽しんで食べることが大切です。
生活習慣やヘアケアの見直し
薄味や分量変更は持続で慣れます
生活習慣の改善は、難しいことではありません。食事については薄味でカロリーが適度なメニューについては、実用書にも良い本が出ていますので参考にするとよいでしょう。おかずを何にしようなど、日々のメニューにも困らなくなるので一挙両得です。初めは、薄い味付けや少なめの分量に戸惑いを覚えるかもしれません。でもそれは、当然至極のこととしてスルーすることです。
薄味の食事は最初は物足りなく感じられるかもしれません。でも、1ヶ月ほどで慣れてきます。掲載されているメニューには、食材自体の旨みが生かされているので、味わいが引き立ち、野菜や魚、お肉がこんなにも美味しかったのかと再評価することにもつながっていきます。
ダメージヘアのいたわり方
ダメージヘアとはよく言われていることです。空気中の成分やストレスなどから、髪がダメージを受け、発毛が阻害されたりします。そんな髪をいたわるために、手軽にご自身で出来る方法がいくつかあります。
まず、お湯でシャンプーを行うことです。シャンプーの目的は頭皮の洗浄です。AGAの原因とされている毛母細胞の衰退を復活させるためにも、指先を立てて、力まずに、しっかりと頭皮をマッサージします。つい爪を立ててしまいがちですが、これはお勧めできません。髪へのいたわりが基本です。
シャンプーは高級アルコール系の商品より、アミノ酸系のシャンプーがお勧めです。パッケージに「グリシン」「グルタミン酸」「サルコシン」などと書かれてあればアミノ酸系シャンプーです。洗浄力が穏やかなので、髪や頭皮を傷めることがありません。
ストレス解消
AGAの原因のひとつと言われているストレス。ストレス解消には、手軽にできて健康にもよいウォーキングがあげられます。普段から椅子に腰掛けたデスクワークばかりの生活では運動不足は免れません。身体の代謝も必然と落ちてきます。その結果、もたらされるものに肥満があります。見た目、それほど太っていなくても隠れメタボリックシンドロームといって血中コレステロールの増加や、代謝の不足による血行不良などが検査で見られることがあります。
医師がすすめるウォーキング、AGAにも効果発揮
医師はメタボリック症候群と判断すると、まずはウォーキングをすすめます。定期的なウォーキングを習慣化すれば自然と慣れてきます。すぐには効果が現れませんが、急がば回れの喩えのごとく1日、10分でもかまいませんのでコツコツと歩いてみましょう。AGAの元ともなっているストレス対策にとても効果的です。
続けているうちに歩くことと、いくらか汗をかくことが気持ちよくなってきます。身体や、気持ちに爽快感を感じるようになってきます。ウォーキングの爽快感を覚えてしまうと必然的に歩くことが楽しみになってくるでしょう。
コツコツと日々、無理なく歩くことで、代謝も改善され酸素も取り込みますので身体がイキイキとしてきます。
自然とデトックスも行え、AGA対策にもってこいというわけです。
22時就寝で肝臓を休めよう
生活習慣を整えるために規則正しい睡眠があげられます。夜は、22時には寝るようにします。この時間指定には医学的確証があり、肝臓が穏やかに休まる時間となっています。それが、22時から、02時の間なのです。逆にいえば、呑んだ後に夜食と称して寝る前にラーメンなどを摂っているような生活ですと、本来休むべき肝臓が働く事になって余計な負担を強いることになるのです。肝臓が処理しきれなくなると肥満にもつながり、脂肪肝となってしまうわけです。
AGAの対策として、日常できることをお話ししてきました。是非、基本的な3点、適切な食事と、歩くこと、睡眠のリズムを確保しましょう。