CMや広告などを見るとAGA治療の値段についての言及がなく、ただ高額だというイメージが先行しがち。そのためAGA治療を始めることに躊躇する人もいます。しかし、イメージだけで躊躇していては、薄毛や抜け毛の改善を目指す場合、何も前に進められません。
実際にはどんな治療があって、コストパフォーマンスを知れたなら、治療を受ける勇気が出てくるかも!?
この記事で分かること
AGA治療は保険適用外の自由診療です
AGA治療は、残念ながら現在のところ、医療保険適用外の治療です。具体的お話しすると、AGA治療は厚生労働省が定める医療保険の適用がなされる治療行為に含まれていません。美容整形と同じ扱いの「外見や容貌を整えるための行為」として、「自由診療」の枠に入っているのです。
医療機関によって価格設定はまちまち
そのためAGA治療の料金に関する取り決めはなく、治療費は医療機関が自由に決められるようになっています。もちろん、治療方法による差もありますが、結果、医療機関によって、その金額に大きな差が出てきてしまうのです。
なお、一般的にAGA治療には時間がかかります。投薬治療の場合、半年以上続けなければ効果を実感できないことが多く、その他の治療でもだいたい3ヶ月から1年以上続けなければいけません。そのため、月々の金額はそれほどでなくても総額が高額になってしまいます。
「一般病院」と「AGA専門クリニック」の料金差
AGA治療を受ける医療機関としては、AGA専門のクリニックと一般の病院(皮膚科)に大きく分けられます。それぞれ治療内容に違いがあり、相場価格にはそれ以上の開きがあります。細かく見ていきましょう。
各医療機関のメリットデメリット
長期間、気長に通院しやすい「一般病院」
一般の病院(皮膚科)は、その利便性の高さと敷居の低さが大きな魅力でしょう。また、通院は半年に1回ほど薬をもらうだけ、という場合も多く、長い期間に渡って通院を続けやすい大きな利点となります。
AGAを現状維持に留めてしまいやすい……
ただし、一般の病院は疾患を治療するところです。残念ながらAGA治療は上述しているように特定の疾患ではなく「現状の容姿や外見をより良くしようとする行為」とみなされているため、治療するという意識ではなく、現状維持に注力される場合が多いです。
そのため一般の病院では、AGA治療薬を処方するだけで終わることがほとんどでしょう。もちろん、処方のために最低限の検査と問診は行われます。この時に処方されるのは、AGAの発症と進行を抑える効果が認められている「プロペシア」という薬になります。しかし「プロペシア」単独の処方では、発毛効果があまり期待できません。そもそも体質によっては効果がないことも。詳細な検査をしないため、なぜ効かないのか分からない可能性があります。
- 一般病院のメリット ……… 家から近く利便性が高い場合が多い
- 一般病院のメリット ……… 通院の頻度が低く、薬をもらうだけで済む
- 一般病院のデメリット …… AGAの進行を抑えるだけで、発毛までは考慮されない
- 一般病院のデメリット …… 検査が簡易なもののため、実際の効果が分からない
「AGA専門クリニック」は、詳細に原因分析と検査を行なう
一般病院に比べてAGA専門クリニック(AGA専門外来)では、まず頭皮や髪質の検査とAGAの進行度合いの確認を行います。それら頭部の写真や頭皮の拡大画像などのデータをもとに、細かなカウンセリングからAGA治療が始まります。その後、患者の希望や生活習慣なども考慮したうえで治療方針を決め、プロペシアやミノキシジルをはじめ、複数の薬や頭皮ケアなどを組み合わせて最適な治療を勧めてくれるのです。
月に1回は通院が必要
もちろん、その後の通院でも、毎回きちんと状況を確認し、効果によっては処方を変えたり、生活習慣や頭皮ケアのアドバイスをくれたり、AGAの進行を抑えるだけではなく、発毛を促して治療することに専念してくれます。なお、通院の頻度は1ヶ月に1度というのが一般的です。
- クリニックのメリット ……… AGAの進行を抑えるだけではなく、発毛を目指している
- クリニックのメリット ……… 詳細な検査やカウンセリングを行い、最適な治療を検討する
- クリニックのデメリット …… 都市圏以外にはあまりなく、通院するのが難しい
- クリニックのデメリット …… 通院の頻度が高く、時間がかかるためスケジュールを組む必要がある
相場
一般の病院とAGA専門クリニックでは、その料金の相場にどれくらいの差があるのでしょうか? どちらにしろ医療保険の適用外ですので、通常の医療費よりも高くなるのは仕方ありません。双方の一般的な相場を紹介しましょう。
- 一般の病院(皮膚科) …… 毎月8,000円から15,000円程度
- AGA専門クリニック ……… 毎月15,000円から30,000円程度
最初にお伝えしたように、AGA治療は各医療機関が自由に料金設定できる自由診療ですので、料金は前後するでしょう。しかし、具体的な相場がどれくらいの金額になるのか知っておくことで、診察を受けた医療機関が割高なのか割安なのかを判断できると思います。
治療別に必要な、おおよその料金とは
医療機関ごとの相場を説明しましたが、金額は診療から施術費用、薬代まで含めた金額です。治療内容ごとにおおよその相場があるので、そちらも紹介しておきます。これらの金額を知ることで、高額な治療費にある程度は納得することができるのではないでしょうか。
内服薬の処方
もっとも一般的な治療法です。一般病院の場合、ほぼこの治療方法だけをとっており、薬代が治療費のほとんど占めるといっても言い過ぎではありません。使用する薬は、厚生労働省に認可を受けているフィナステリド系の内服薬で、AGAの主要な要因である脱毛ホルモン(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えられるものです。
多くの場合、内服薬として「プロペシア」を処方されることが多いです。しかし最近は、より強力なデュタステリド系の内服薬が認可されているため、専門外来では耳にすることもあると思います。おそらく、新薬の場合はもう少し高額になってくるでしょう。ちなみに一般病院では、認可されたばかりの薬をすぐに使うことはあまりありません。
- 内服薬の相場……1ヶ月あたり10,000円から20,000円程度
外用薬の処方
AGA専門外来で「プロペシア」と併用して使うことが多いのは、ミノキシジル系の塗り薬です。毛細血管を広げて血行を促進し、新しい血管を作り出す効果がるため、患部に塗布することで毛母細胞へ送られる酸素や栄養素の量を増やし、発毛を促進します。
一般に市販されている育毛剤に含まれていることもあり、有名なものでは「リアップ」や「ロゲイン」があります。
- 外用薬の相場……1ヶ月あたり10,000円から20,000円程度。
発毛再生医療(育毛メソセラピー・HARG療法など)
一部の育毛サロンやAGA専門クリニックで行われている治療法で、注射器などで直接患部に薬剤を注入することで、発毛促進や脱毛抑制を行おうという治療法です。有名なものでは育毛メソセラピーとHARG療法があります。
AGAの患部に直接注入の「育毛メソセラピー」
アミノ酸やたんぱく質などの成長因子やフィナステリドなどの有効成分、ビタミンなどを患部に直接注入することで、毛母細胞を活性化させて発毛を促すものです。
患部注入で細胞活性化の「HARG療法」。女性も可能
主に幹細胞由来の成長因子を患部に注入することで毛母細胞をはじめ発毛にまつわる細胞を活性化、増殖して発毛を促すものです。フィナステリド系の薬剤などが含まれていないことが多く、女性でも問題なく受けることができます。
医療機関ごとに注入する成分が違っており、その内容によっても金額が変わってきます。注射を用いた医療行為が必要で、施術が1カ所では済まないこともあり、非常に高額になる傾向が高いでしょう。
- 相場……最低でも80,000円は必要
自毛植毛
今までの治療法は、すべて毛母細胞の増殖を促すことで発毛させようとしています。髪の毛を増やすには、弱っている毛根だったとしても「毛母細胞が存在している」必要があります(HARG療法はその限りではないようです)。そのため、もし毛母細胞が完全に死んでしまっている場合、上記のような方法では効果がありません。
しかしそんな場合でも、側頭部や後頭部に生えている自分の髪の毛(毛穴を含めた毛根全体)を生え際や頭頂部に植える「自毛植毛」であれば、髪を増やすことができます。もちろん、自分の生きた髪の毛を移植するため、きちんとケアすれば増毛することも可能です。カツラなどと違って、その後のランニングコストもかかることはありません。
ただし移植手術ですので、非常に高額です。治療費については基本的に移植する毛穴の数(毛穴1つに髪の毛2,3本生えます)によって算出されます。その相場は、1グラフト(毛穴1つ)で1,000円程度のようです。生え際などの小さな部分で200グラフト程度、生え際から頭頂部までの広い範囲になると3,000グラフト以上になりますので、価格としては20万円から300万円以上かかる計算になります。
もちろん、どれくらいの密度で植毛するかにもよりますので、これが最低金額だと捉えたほうがよいでしょう。100万円前後の治療費というのが、もっとも多いようです。
料金に惑わされず、自分に最適なクリニックや治療方法を選ぶ
AGA治療の相場をご紹介してきましたので、これらの金額を考慮して医療機関を選んでいただければ、異常な金額でだまされるようなことはないでしょう。
ただ1点注意していただきたいのは、「高ければ高いほど効果がある」、「安いから効果がない」、というわけではないということです。
いくら高額な治療費を払っても、その治療方針や薬が自分の体質に合っていないと効果はありませんし、安い医療機関で試してみたら自分にぴったりと合って劇的な効果が現れることもあります。金額はあくまでも1つの目安として、きちんと説明を聞き、最悪の場合は別の病院へ行くなど、理解したうえで受診しなければいけません。