何事も原因さえ分かれば効果的な対策がとれるもの。AGA(男性型脱毛症)も例外ではありません。
ここでは、AGAになってしまう要因をさぐりつつ、それに対する効果的な発毛・育毛方法をさぐっていきます。生え際や頭のてっぺんがすでに気になっている方、気になっていないふりをしている方は、今この瞬間に育毛や発毛ケアを始めましょう。
この記事で分かること
AGAになる要因は主に3つ
AGAになる要因とは何でしょうか? 結局「遺伝」として片づけられてしまうことが多いのですが、それでは具体的な対策がとれません。遺伝なら遺伝として、「何が遺伝したらAGAになるか」を考えなければならないのです。AGAになる主な要因は、以下の3つだといわれています。
原因1、男性ホルモンを還元する酵素「5αリダクターゼ」
5αリダクターゼは酵素の一種で、テストステロン(男性ホルモン)と結びつくことで、テストステロンをジヒドロテストステロンに変化させます。このジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞の発毛サイクルを狂わせてAGAになるといわれており、AGAのもっとも大きな要因の1つなのです。
2タイプの5αリダクターゼが存在しています
なお、5αリダクターゼには1型と2型があり、2型の方がジヒドロテストステロンの生成に強く関与しているといわれています。そして、1型5αリダクターゼは皮脂腺に多く存在し、2型5αリダクターゼは毛乳頭に多く存在しています。
そのため、2型5αリダクターゼの分泌が多い人はジヒドロテストステロンが多く生成され、毛乳頭細胞の発毛サイクルに狂いが生じることになります。
そして、この5αリダクターゼの分泌量が遺伝によって決まることが、AGAの原因が遺伝だといわれているわけです。もし、この5αリダクターゼの働きを抑制できれば、もっとも大きな要因を減らすことができるでしょう。
原因2、身体の末端ほど「血管が少ない」
髪の毛が作られるのは根元の毛包という部分で、この奥にある毛球と呼ばれる部分に髪の毛の成長の要である毛母細胞と毛乳頭があります。毛乳頭は様々な物質を分泌するなどして毛母細胞の増殖をコントロールしています。毛母細胞は毛細血管が運び込んでくる栄養や酸素をもとに増殖していき、髪の毛を伸ばしていくわけです。
血管が少ないと髪の毛に必要な栄養も届きにくい
つまり、髪の毛が成長するためには、毛細血管から栄養や酸素を受け取らなければいけません。しかし、髪の毛の生え際や頭頂部などは血管自体が少なく、どうしても髪の毛の成長に必要とする酸素や栄養が行き届きにくいのです。
もし血管が比較的少ない部位の血管を増やすか、そこに多くの酸素や栄養を送ることができれば、髪の毛の成長を促進できることでしょう。
原因3、「皮膚が硬い」とAGAになりやすいのはなぜ?
頭皮が硬い人は、AGAになりやすいといわれています。これは頭皮の硬くなる原因が、頭皮の下に走っている毛細血管が血行不良となり、頭皮全体の新陳代謝が落ちているためです。上述していますが、髪の毛が成長するには、毛細血管から栄養と酸素をもらわなければいけません。そのため毛細血管が血行不良になると、栄養と酸素が髪の毛まで届けられず、結果的にAGAになるということです。
加齢や食生活、運動不足で皮膚が硬くなる
残念ながら、皮膚が硬くなる(血行が悪くなる)原因の1つは「加齢」です。しかし、それ以外にもストレスや食生活、運動不足などの生活習慣も大きく関与しています。そのため、若い方でも頭皮が硬い人は多くなっています。
生活習慣を見直して、頭皮が硬くなることを防ぐのも重要ですが、すでに硬くなっている場合はそれだけでは足りません。頭皮マッサージをするなどして、意識的に頭皮の血行が良くなるようにしなければいけません。すると、頭皮は柔らかくなり、毛細血管の血行も良くなります。そうなれば、毛母細胞に必要な酸素と栄養を送ってあげることができます。
AGA不安のある生え際が発毛する方法とは
上記の3点を総合すると、やはり生え際や頭頂部はAGAかもしれないという不安がもっとも大きなところでしょう。ではここで、一度後退するとなかなか元に戻りにくいといわれている「生え際」について、発毛する方法を解説しましょう。大きく分けると病院での治療と生活改善の2つです。
専門医療機関受診による処方薬
専門病院による治療では、まず生え際に産毛が残っているかどうかが確認されます。もし産毛が残っていれば、投薬による発毛治療が可能です。(生え際が後退して時間が経てば経つほど産毛はなくなっていきます。もし産毛もない状態であれば投薬による発毛は期待できません)
AGA治療薬として効果があるといわれているのは、「プロペシア」と「ミノキシジル」の2つです。
「プロペシア」はAGA要因のDHTを抑制します
錠剤の飲み薬で、有効成分として「フィナステリド」という成分が含まれており、この成分が5αリダクターゼの働きを抑制します。すると、結果的にAGAのもっとも大きな要因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成が抑えられるのです。
血管を拡張する「ミノキシジル」で頭皮の血流改善
肌につける薬として、多く使われています。「ミノキシジル」は血管拡張作用がありますので、つけた部分の血行をよくします。つまり、AGAの要因の1つである血行の悪さを改善して、毛乳頭への酸素や栄養の運搬を促進するわけです。それが、結果的に発毛へとつながることになります。
「プロペシア」「ミノキシジル」どちらも地道な投薬が大切です
ただし、この2つともに言えることは、短期間に効果が現れるものではなく、年単位での投薬によって効果が現れるものだということです。なお「プロペシア」単体での国内での臨床実験では、3年の使用で実に70%以上の人に改善がみられたという結果があります。つまり、根気よく続けることが非常に重要だということです。
2種類の同時処方で相乗効果に期待
ちなみに、この2つを組み合わせることで、プロペシアがジヒドロテストステロンの生成を抑えて毛乳頭細胞の発毛サイクルを正常に保ち、ミノキシジルが血行をよくして酸素と栄養を毛乳頭細胞に送り届けることができることになりますので、相乗効果が期待できるのではないでしょうか。
AGAには根本的な生活改善を
髪の毛も身体の一部です。AGA治療を効率よく行うための生活改善として、シャンプーに気をつけたり、頭皮マッサージをしたりするだけではなく、食事に気をつけて、適度な運動をするほうが良いでしょう。そうすることで、処方薬の効果も最大限に発揮できます。
「栄養」を考えて食事を行ないましょう
食事をするにしても、ただ食べるだけではなく、有効な食事をするように心がけましょう。大豆に多く含まれるイソフラボンは、ジヒドロテストステロンの働きを抑制する効果があります。牡蠣やレバーなどは、髪の毛に良いとされている亜鉛を多く含んでいます。もちろんこれらだけではなく、髪の材料になるタンパク質である肉類、ミネラルを多く含む野菜や海藻、魚など、栄養バランスの良い食事を適度に摂ることが、AGA治療をもっとも効率よくできる大きな要因なのです。
「運動」による血行促進、栄養素の活用を
もちろん、適度な運動を忘れてはいけません。軽い運動をすることで血行が促進され、消化吸収が速やかに行われます。その先で食事により摂取した栄養が効率よくエネルギーや栄養素へ変わっていくのです。結果として多くの栄養が毛乳頭細胞へ届き、発毛が促進されます。
「頭皮マッサージ」で刺激を加えましょう
頭皮マッサージは、AGA治療の一環として明らかな効果が見られます。頭全体をマッサージして頭皮の血行を促進することで、毛乳頭細胞への酸素と栄養の供給が増えます。そのうえ、つまりがちな頭皮の毛穴から皮脂や汚れを押し出せるのです。結果的に、マッサージすることによって、発毛に良い環境が自然にできあがってくるわけです。
利用目的に合った「シャンプー剤」へと替える
シャンプーは直接頭皮や髪に接する行為なので、発毛環境を整える役目があると考えて良いでしょう。だからこそシャンプー剤は目的に合ったものを使用しなければいけません。ただ頭の汚れや脂を落とすだけのシャンプーでは、皮脂を落としすぎてかえって頭皮を傷めてしまいかねないのです。
AGA治療を行っているということを踏まえ、頭皮を清潔に保ちつつ、守ることができるものを選ぶ必要があります。AGA治療という目的を考えれば、できる限り髪の毛や頭皮に刺激を与えず汚れを落とし、皮脂やうるおいは適度に残せる「アミノ酸系」の洗浄成分を含んだシャンプーを選択するのがよいでしょう。
生え際にAGAを感じたら、育毛&発毛ケアのスタートを
以上のように、現在AGAのメカニズムとその対策は判明しており、高い確率で治療が可能となっています。そのため、もしAGAを疑う瞬間ができたら、すぐに対策を始めるようにしましょう。
特に、生え際は非常にAGAになりやすく、且つ薄さに気づきやすいところです。また、進行も遅くはありません。生え際が少し後退してきたな、と少しでも感じたら、すぐに育毛ケアや発毛ケアをスタートしてください。産毛もなくなってしまったら、植毛などの外科的な方法をとるしかありません。