AGAの治療薬、効果はいかほど?AGA(男性型脱毛症)

AGA治療薬の気になる効果のほどとは

AGAの治療薬、効果はいかほど?

現在、AGA(男性型脱毛症)は治療できる病気になっており、多くの病院やクリニックなどで治療が行われています。なぜならAGAの発症メカニズムが解明され、有効な薬や治療法が開発されたからです。ここではAGAの発症メカニズムと対策、治療薬について詳しく解説します。

AGAを発症するメカニズム

M字ハゲや頂点ハゲ、若ハゲなど薄毛症状をもたらすAGA(男性型脱毛症)。遺伝が原因とされており、効果的な対策が存在していませんでした。しかし現在、AGAの発症メカニズムが解明され、その原因に作用する薬も開発されています。それにより積極的に治療している人が増えているのです。

AGAの発症メカニズム

AGAの大きな要因が遺伝によって受け継がれるのは確かである、と解明されています。しかし要因が遺伝するのと発症するのとは、必ずしもイコールではありません。AGA発症のメカニズムを知り正しく対処すれば、その発症を抑えたり、進行を遅らせたりすることは十分に可能なのです。

テストステロンと酵素5αリダクターゼの関係がAGAを生む

AGAの発症には、男性ホルモン(テストステロン)と5αリダクターゼという酵素、それらから生成されるジヒドロテストステロン(DHT)が大きく関与しています。それらがどう働き、AGAを発症させるのか、そのメカニズムを解説していきましょう。

1.DHTの生成

男性ホルモンは、男性にとって非常に重要なホルモンで、男らしい筋肉質な身体や精神を作り、それを保つため、常に一定の量が分泌されています。しかし、そんな男性ホルモンが5αリダクターゼに出会うと、非常に活性化された男性ホルモンであるDHT(脱毛ホルモン)へと姿を変えてしまうのです。

頭髪に作用するのは、2型5αリダクターゼ

なお、この5αリダクターゼ酵素は、身体じゅうに存在していますが、一様に分布しているわけではありません。そもそも、5αリダクターゼには1型と2型があり、1型5αリダクターゼは、肝臓や皮膚などに多く、2型は頭髪やひげの毛根、前立腺に多く存在しています。

つまり、頭髪の毛根に多く存在している2型5αリダクターゼが毛根にある男性ホルモンを活性化させ、毛根に多量の脱毛ホルモンを発生させることになるわけです。

2.毛乳頭の男性ホルモン受容体へDHTが結合

毛根で発生したDHTは、毛乳頭にある男性ホルモン受容体に結合します。すると毛乳頭から毛母細胞へ増殖停止の指令が発せられ、毛母細胞はその指令に従って増殖を止めてしまいます。すると当然ながら毛髪の成長は止まり、きちんと成長しきる前の髪の毛がハラハラと抜け落ちてしまうのです。

この現象が頭髪(特に2型5αリダクターゼの多い頭頂部や生え際)に繰り返されることで、AGAが発症や進行していきます。

AGA治療に必要なこと

上記の発症メカニズムを踏まえると、AGAの発症を抑え、治療するためのポイントが分かると思います。それは、「脱毛ホルモン(DHT)の生成を阻止する」ことと「毛母細胞の増殖を助ける」ことです。

「脱毛ホルモン(DHT)の生成を阻止する」

脱毛ホルモンであるDHTがなければ、毛乳頭は髪の毛が成長しきる前に毛母細胞へ増殖を止める指令を送るなど、そうそうありません。ですので、DHTを作りださないようにすることが重要なのです。

しかし、男性ホルモン自体の量を減らすのは非常に危険です。上述していますが、男性ホルモンは男性の健康な身体にとっては非常に重要で、身体の繊細なバランスを保っています。そのバランスを自ら崩してしまっては、体調が悪くなってしまうのも目に見えているでしょう。

DHTの生成を抑えるには、男性ホルモンではなく5αリダクターゼに着目する必要があるのです。

「毛母細胞の増殖を助ける」

もし、DHTの生成を抑えられるなら、AGAの進行を止めることができます。しかしすでに成長を止めかけている毛母細胞を再び元気にしなければ、新たな髪が生えてくることはそうそうありません。そのため、毛母細胞の増殖を促して、発毛するようにしなければいけません。

発毛のためには、頭皮の血行を促進して、毛母細胞へ届けられる酸素や栄養を多くすることが非常に効果的な対策になります。

AGAの治療薬は主に2種類

AGA治療の主な処方薬はミノキシジルとフィナステリド現在AGAの治療に使われている代表的な処方薬「ミノキシジル」と「フィナステリド」について、詳しく説明しましょう。これらの特徴を理解することで、納得してAGA治療に挑むことができ、間違った服薬での余計な被害を防ぐことができるでしょう。

ミノキシジル

AGA治療薬の多くは、外用薬(塗り薬)が処方されています。

毛細血管拡張で血流にアプローチする治療薬です

もともと高血圧の治療薬として使用されていたものですので、血管拡張作用を持っており、頭皮に塗ることで頭皮の毛細血管が拡張され、毛母細胞へ届けられる酸素や栄養素が増えて、毛母細胞の増殖を促すことができるわけです。

頭皮マッサージなどに比べると、極めて効率的に毛母細胞へ栄養素を送りますので、非常に効果的です。ただし、送るべき栄養素がなければ意味がありませんので、きちんとバランスの良い食事をするなど健康的な生活が必須でしょう。

頭皮のかゆみや低血圧などの副作用に気をつけて

なお処方薬ですので、当然ながら副作用があります。代表的なものは、頭皮のかゆみです。ただしこれはミノキシジルそのものに対する副作用ではなく、外用薬の基材(ベースとなる液体など)に対するアレルギーだと言われています。その他、血管拡張作用がある薬ですので、使用量によっては低血圧の原因ともなりますから気を付けなければいけません。それ以外にも、以下のような副作用が報告されています。

  • にきびの発生
  • 霞み目
  • 頭痛
  • 多毛症(腕や足など特定の場所の毛が増える)
  • 手足や顔のしびれやむくみ
  • 性欲減退、性的不能
  • 不整脈や動悸、胸の痛み
  • 皮膚の紅潮
  • 急激な体重増加

これらのほとんどは、ミノキシジルの使い過ぎによる場合が多いようです。ただし、副作用については使用者の体調や環境などと密接にかかわっています。もし何か発症したら、すぐに医療機関へ相談した方がいいでしょう。

フィナステリド

現在、もっとも有名なAGA治療薬です。プロペシアという商品名で多くの医療機関で使用されている内服薬で、ジェネリックも数種類出回っています。

5αリダクターゼの働きを阻止する成分です

前立腺肥大症の治療薬として使われていましたが、発毛効果が見つかり、AGA治療薬として発売されたものです。もっとも大きな効果は、2型5αリダクターゼの働きを阻害し、男性ホルモンがDHTに変換されることを防ぐことです。特に2型5αリダクターゼの働きを選択的に抑え込むため、AGAの根本原因を解決することができる非常に有効な処方薬と言えます。

効果を見たいなら、気長に服用の継続を

ただし、効果が現れるまで非常に時間がかかるという欠点があり、まず半年飲み続けないと効果が現れません。そして、実際に治療に要する時間は3年ほどだと言われています。しかし、非常に高い確率でAGAを治療することができますので、希望を持って気長に続けることができるでしょう。

性機能や肝機能への副作用の実態もをお忘れなく……

残念ながら、フィナステリドにも副作用は存在しています。もっともインパクトの大きい副作用は勃起機能不全などの性機能障害でしょう。また、この薬は肝臓で処理されるため、肝機能障害についても可能性が指摘されています。その他にも、蕁麻疹や発疹、めまいなども報告されています。これらの副作用は、臨床試験ではプラセボ(偽薬)側もほぼ同じ割合で同じ副作用が起こっていたようですので、発生の可能性が低いかもしれませんが、体調に気を付けて使用する必要があります。

AGA治療薬の飲み方や選び方について

最後に、AGA治療薬の効果的な飲み方や選び方を紹介しておきましょう。

軽度のAGAには「フィナステリド+栄養補給」

まだAGAを発症したばかりでそれほど進行していないのであれば、脱毛ホルモンの生成を抑えることに重点を置きAGAの進行を早期に止めることで、AGAを治療できます。ただし、そのまま何もしなければ、成長をやめた毛髪が元気を取り戻すことは難しいため、バランスのとれた食事などで必要な栄養素を摂取するようにしましょう。

生え際・頭頂部が進行中のAGAには「フィナステリド+ミノキシジル」

すでに生え際の後退や頭頂部の薄毛に悩んでいる方の場合は、フィナステリドでAGAの進行を止めて、ミノキシジルで弱った毛根に栄養や酸素を送り込んで発毛を促す、という方法が良いでしょう。

もちろん、最適な栄養摂取は必要ですが、ミノキシジルの血管拡張効果でDHTにより弱った毛根へ大量の栄養や酸素を効率的に運ぶことができますので、AGAの治療も効率よく行われることでしょう。