現在のように抜け毛の原因が徐々に解明される以前から、育毛は「ワカメ」「ひじき」が良い食材とまことしやかに言われてきましたが、実際のところこれらの食材は育毛効果があるものなのでしょうか?
ここでは昔から薄毛によいとされてきた「ワカメ」「ひじき」の成分や髪への影響とともに、実際に育毛対策にはどういった食生活をする必要があるのか、見ていきましょう。
この記事で分かること
髪に必要な栄養とは?育毛によいとされる食材とはワカメ?ひじき?
日本人の健康な髪は黒々としていてツヤがあり、ハリやコシがあって美しいものです。これが海外のかたからすると「憧れ」なんだそうですが、薄毛になってくるとハリもツヤも失われ寂しくなっていきます。
まずはそもそも髪ってどういうものから形作られているのか、ここから確認してみましょう。
髪は「ケラチン」というたんぱく質で形成されている
髪はどういう成分で形作られているのか?これは「ケラチン」という名のたんぱく質をはじめ、18種類もの「アミノ酸」で構成されているんだそうです。おもにたんぱく質で成り立っているということは、普段の食生活で必要なものはこのたんぱく質、しかも良質なものを必要な量きちんと摂ることが重要と言えそうです。
育毛に必要な栄養素は多数ある!
髪が「ケラチン」をはじめおもにたんぱく質で成り立っているということを確認したうえで、育毛するために必要な栄養素を確認してみましょう。
良質な「動物性」「植物性」たんぱく質
まずは髪を形作っているおもな成分となっている「良質なたんぱく質」はもちろん必須の栄養素です。でもどういったものを摂ればいいか、となると「動物性たんぱく質」そして「植物性たんぱく質」の両方ということになります。動物性のものもいいのですが如何せん「脂質も多い」ことがネックとなるため、大豆製品など植物性のものもバランスよく取り入れることが必要となります。
育毛にもビタミンが必要!
また健康面からもビタミンがとても大事といわれていますが、育毛についてもこれは同様です。育毛に必要とされるビタミンは「ビタミンA」そしてビタミンB6などの「ビタミンB群」「ビタミンD」などと言われています。
これらのビタミンもバランスよく、できれば「毎日の食事のなかで食品から摂る」のがベストです。
「ワカメ」「ひじき」に多くふくまれる「ミネラル」
ここで登場する栄養素が育毛に必要とされる亜鉛などに代表される「ミネラル」です。鉄分やマグネシウム、ナトリウム、銅などもこのミネラルですが、こういったものとともに育毛に最も重要と言われているのが最初に触れた「亜鉛」です。亜鉛が多くふくまれている食材としては「牡蠣」「緑茶」その他にも青魚類などがあります。
しかしこの育毛に必要なミネラルである亜鉛は、ちょっと気を付けなければなりません!というのも「過剰摂取はNG」だからです。亜鉛を過剰摂取すると嘔吐やめまいが起きたり、発熱や胃痛などの症状がでることがありますので、髪を増やしたいからといって必要以上に多く摂るのはやめるべきでしょう。
「ワカメ」「ひじき」も育毛には必要な食材ではある
髪に必要な栄養素をチェックしてみましたがこれを総合すると、ワカメやひじきも育毛にはよい食材であることは間違いなさそうですね。とはいえ他の食材を差し置いてでもこれらの海藻類が育毛に必要なものなのか、というと疑問が残ります。
育毛に良い「ワカメ」の栄養素を確認!
次に「ワカメ」に含まれている栄養素について詳しく見てみましょう。これらのなかに育毛に必要な栄養素がすべて含まれているものなのでしょうか?
ワカメは栄養成分がかなり豊富!
一般的なワカメ一食あたりの栄養素成分を確認してみました。かなり多くのミネラルと食物繊維、そして多数のビタミンがあることが分かります。
エネルギー | 536~751kcal |
---|---|
たんぱく質 | 15~34g |
脂質 | 13~20g |
糖質 | 6.2g |
食物繊維 | 5.7g~ |
食塩相当量 | 2.5g |
ナトリウム | ~1000mg |
カリウム | 833mg |
カルシウム | 221mg |
マグネシウム | 91.8mg |
リン | 381mg |
鉄 | 3.49mg |
亜鉛 | 3mg |
銅 | 0.24mg |
マンガン | 1.17mg |
ビタミンA | 221μg |
ビタミンE | 2.2mg |
ビタミンK | 17μg |
ビタミンB1 | 0.32mg |
ビタミンB2 | 0.36mg |
ナイアシン | 3.48mg |
ビタミンB6 | 0.35mg |
葉酸 | 80μg |
パントテン酸 | 1.5mg |
ビタミンC | 33μg |
アミノ酸 | 計測不能(ほとんど含まれず) |
脂肪酸 | 計測不能(ほとんど含まれず) |
確認してみて意外だったのは、「たんぱく質」も適量含んでいたことでしょうか。さらに脂質や糖質なども含んでいるうえ、育毛に必要な亜鉛、ヨウ素などのミネラル類も多数の種類が含まれている、それが「ワカメ」ということです。毎日の食事の際にワカメのお吸い物やお味噌汁を取り入れるのは、育毛にも良いのではないでしょうか。
育毛によいとされる「ひじき」の栄養素を確認!
次にひじきの栄養素についても詳しく見ていきましょう。ワカメもひじきも似たような栄養素ではないかと思っているかたもいるかもしれませんが、確認してみるとずいぶん違う部分が見えてきました。
ひじきもビタミン、ミネラル豊富な食材!
ひじき一食あたりの成分を調べてみたところ、以下のような数値となっていました。数値が確認できなかったものは一食当たりではなく乾燥ひじき10gについて記載しています。
エネルギー | 536~751kcal |
---|---|
たんぱく質 | 15~34g |
脂質 | 13~20g |
食物繊維 総量 | 4.33g |
食塩相当量 | 0.36g |
ナトリウム | ~1000mg |
カリウム | 833mg |
カルシウム | 221mg |
マグネシウム | 91.8mg |
リン | 381mg |
鉄 | 3.49mg |
亜鉛 | 3mg |
銅 | 0.24mg |
マンガン | 1.17mg |
ヨウ素 | 43.8μg |
セレン | 8.3μg |
クロム | 10μg |
モリブデン | 6.7μ |
ビタミンA | 221μg |
ビタミンE | 2.2mg |
ビタミンK | 17μg |
ビタミンB1 | 0.32mg |
ビタミンB2 | 0.36mg |
ナイアシン | 3.48mg |
ビタミンB6 | 0.35mg |
葉酸 | 80μg |
パントテン酸 | 1.5mg |
ビオチン | 17μg |
イソロイシン | 48mg |
---|---|
リジン | 36mg |
ロイシン | 79mg |
バリン | 58mg |
トリプトファン | 12mg |
スレオニン | 47mg |
アルギニン | 43mg |
アラニン | 62mg |
ヒスチジン | 16mg |
グリシン | 53mg |
プロリン | 42mg |
セリン | 42mg |
アスパラギン酸 | 100mg |
グルタミン酸 | 120mg |
含硫アミノ酸 | 44mg |
芳香族アミノ酸 | 72mg |
アミノ酸合計 | 870mg |
アンモニア | 22m |
脂肪酸飽和 | 0.02g |
---|---|
脂肪酸一価不飽和 | 0.02g |
脂肪酸多価不飽和 | 0.03g |
脂肪酸総量 | 0.07g |
n-3系多価不飽和 | 0.01g |
n-6系多価不飽和 | 0.01g |
18:1オレイン酸 | 6.8mg |
18:3n-3α-リノレン酸 | 5.2mg |
18:2n-6リノール酸 | 3.3mg |
20:3n-6イコサトリエン酸 | 0.3mg |
18:4n-3オクタデカテトラエン酸 | 2.9mg |
20:4n-3イコサテトラエン酸 | 0.6mg |
20:5n-3イコサペンタエン酸 | 4.6mg |
20:4n-6アラキドン酸 | 8.9mg |
確認してみてちょっと驚きだったのは、アミノ酸類とともに脂肪酸も多くの種類が含まれていたことでしょうか。ワカメにはこういったものは含まれていなかっただけに、ひじきがさらにさまざまな栄養素を豊富に含んでいることで、育毛に必要な食材だということが認識できます。
成分を見る限り「ワカメ」「ひじき」は育毛に良い!しかし…
育毛に必要な栄養素とともに、ワカメとひじきの栄養素を掘り下げてみました。これを確認する限りでは、ワカメもひじきも育毛したい方にとっては有効な食材である、と言えそうです。しかし、先に必要な栄養素についても見ましたが、ワカメとひじき「だけを」摂っていればいいものではない、とも言えます。
過剰摂取に注意!ワカメ、ひじきに含まれる身体に悪い成分
またワカメやひじきは食物繊維そしてビタミンやミネラル豊富ではありますが「過剰摂取」はよくありません。これらの食材の中には多く摂りすぎると健康被害がでる可能性がある成分があるからです。
ヨウ素(ヨード)
ワカメにもひじきにも含まれるヨードとも呼ばれるヨウ素は適量はもちろん育毛にも必要な栄養素ですが、摂りすぎると問題が起きてしまいます。「甲状腺機能低下症」や「甲状腺機能亢進症」「甲状腺がん」など甲状腺に関わる病気になるリスクがあるので注意が必要です。
無機ヒ素
ひじきには「無機ヒ素」が含まれています。
海外ではこの「無機ヒ素」が含まれた海藻類などの危険性が挙げられるようになっています。無機ヒ素を含むひじきを大量に摂ると、健康被害が出るリスクがありますが、現在までのところ、日本国内でひじきを食べ過ぎでヒ素中毒を起こしたといった事例はまだないとされています。無機ヒ素そのものも水溶性なため、水洗いし茹でこぼしすることで軽減ができると言われています。
とはいえ身体に悪影響を及びす成分が含まれていることも認識し、適量の摂取に留め、育毛に良いからといって食べすぎないようにすることが賢明です。
育毛にはワカメ、ひじきとともにバランスのよい食事を!
育毛に必要な栄養素は良質な動物性、植物性たんぱく質、そしてビタミンやミネラルも適量まんべんなく必要です。ワカメとひじきだけを毎日摂取していたからといって、髪がふさふさと生えてくるわけではない、ということです。どのような食材でも、それだけしか摂らないと人間の体は持ちません。健康を損なっては育毛どころの話ではなくなりますので、毎日の食生活を見直し、主食と副菜そして汁物などなどできるだけ多くの食材を調理したものをいただくようにし、その上でワカメやひじきを意識的に摂る、というのが正解といえそうです。