レーザー治療がAGAの改善に効果的というお話は、AGA(男性型脱毛症)が原因の薄毛でお悩みの方であれば耳にしたことがあるのではと思います。
ここではAGAのレーザー治療とはどういうものなのか、効果や方法など詳しく解説していきます。
この記事で分かること
AGAのレーザー治療とは?
まずはAGAに効果があると言われる「レーザー治療」がどういったものなのか確認していきましょう。
AGAを治したい時に「何をすべきなのか」、「どうすれば効果的に治せるのか」は、人それぞれとも言えますが、発症メカニズムや処方薬など、押さえておくべき基本的なこともあります。
AGAレーザー治療はアメリカFDAで認可済み
AGAの治療と言えば「ミノキシジル」や「フィナステリド」といった有効成分を含む治療薬が一般的です。「ミノキシジル」「フィナステリド」は日本国内では厚生労働省からも認可を受けているため、発毛効果が期待できます。専門の医療機関を受診して適切に処方してもらうことで、実際に薄毛が改善しつつある方も多くいます。
AGAの原因にアタックできる治療薬で発毛効果が期待できるということは、どなたもある程度納得できるものでしょう。とはいえAGAに対しレーザー治療で発毛が期待できるのかということについては、にわかには信じがたいという方もいるかもしれません。
しかし実はAGAのレーザー治療は、アメリカの公的機関である「FDA(アメリカ食品医薬品局)」によって認可された治療なのです。
「FDA(アメリカ食品医薬品局)」とは日本国内でいうところの厚生労働省にあたる機関であり、医薬品や食品類等の効果や安全性について審査したり認可を与えている機関です。
AGA治療薬の「ミノキシジル」「フィナステリド」もまずアメリカの「FDA」に認可され世界各国に広まり、日本でもその後厚生労働省に認められ治療に使われるようになったものです。同様にAGAのレーザー治療もすでにFDAによって臨床実験もされ、効果が確認されており認可もすでに降りています。
低出力レーザー育毛機もFDAで認可済み
アメリカではさらに低出力のレーザー育毛機を使うことによって発毛効果がある、ということも臨床実験で効果が確認されており、認可も降りています。AGAの低出力レーザー治療はアメリカでは医療行為としても効果や安全性が認められているのです。
しかもこの低出力レーザー治療は頭皮を傷つけるような強いものではなくただ薄毛が気になる部分に当てるだけという、思いのほか簡単な手法です。安全性が高く副作用もないのも大きなメリットです。
臨床試験での育毛改善効果はなんと93%!
AGAのレーザー治療といってもただ光を当てるだけで、髪が生えるなんて…と思う方も中にはいるかもしれません。しかしさすがFDAで認可されているだけあって、臨床試験のデータによると薄毛の改善が見られた割合はなんと「93%」にも上るという驚きの結果があります。
フェナステリドを有効成分とする「プロペシア」での臨床試験でも薄毛の改善効果は80%程度ということですので、いかにAGAのレーザー治療が効果的なのかということが分かります。
国内でもレーザー育毛機による治療は可能
アメリカFDAで認められている上に臨床試験では93%もの割合で効果が得られるとあれば、AGAのレーザー治療を行ってみたいという方も多いのではないでしょうか。AGAのレーザー治療は「お住まいの地域 育毛 レーザー治療」などのキーワードで検索すれば、低出力レーザー育毛機を導入しているクリニックや育毛サロンが出てくるようです。
またアメリカFDAで認可済みの家庭用の低出力レーザー育毛機「ヘアーマックス」というものもあります。このような機器を手に入れて自宅でレーザーを使い育毛するのも良いかもしれません。
AGAのレーザー治療の治療内容
薄毛や抜け毛で悩んでいるならまずは「何が原因の抜け毛なのか」を突き止めることが大事です。そのためには薄毛専門の医療機関を受診し、自身の薄毛の原因を知ったうえで的確な治療を進めることが必要といえます。AGAの薄毛ということが分かれば必要に応じて適切にレーザー治療を行うことで、思いのほか早く薄毛が改善するかもしれません。
ここではAGAのレーザー治療の具体的な内容について確認していきましょう。
医療機関の本格的レーザー治療「モザイクHPヘアセラピー」
一般的には髪は3年から5年の成長期の後に数か月かけてゆっくりと抜けていきますが、AGAなどの脱毛症になると成長期が1年から2年程度の短期間になる上、休止期が長期化します。
このようなヘアサイクルの悪化をレーザー治療「モザイクHPヘアセラピー」ではある程度強力なレーザーを照射することにより改善することが可能です。
レーザー治療「モザイクHPヘアセラピー」のレーザービームが頭皮に当たると以下のようなことが起こります。
レーザー治療「モザイクHPヘアセラピー」の効果メカニズム
- レーザーによって髪よりもはるかに細い、微細な「無出血人工瘢痕」を形成
- レーザーによる瘢痕からPDGFやサイトカインといった成長因子が誘導される
- 毛包突出細胞や幹細胞、毛乳頭細胞がダイレクトに刺激され再生が促進される
- 頭皮をレーザーが直接刺激し休止期が長くなっていた毛根が成長期に移行
- 血流が増し鈍っていた毛母細胞が活性化される
「モザイクHPヘアセラピー」の場合はある程度強力なレーザーということで、髪への影響がないか、不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、このレーザー治療は専用の特殊チップを採用し、毛髪をかき分け、分け目に沿って頭皮のみに照射できるようになっているため心配は無用とのことです。
施術した後もキズが目立つことはなく、生活への支障もないと言われています。
治療のペースは週に一度から月に一度ほど通院で時間は15分から30分程度、ワンクールが4、5回といった形が多いようです。
強力なレーザーと言っても痛みはほとんどなく麻酔なども不要な治療ですが、治療後すぐのシャンプーと髪染めは注意が必要とされています。
FDA認可低出力レーザー育毛機「ヘアーマックス」
次はFDA認可のAGAなどのレーザー育毛機「ヘアーマックス」について特色などを確認してみましょう。
レーザー育毛機「ヘアーマックス」は650nm(いわゆる近赤外線)の波長で、だいだい色から赤色の可視光を使っています。650nmの波長ですと細胞の組織を破壊するような力はありませんし照射してもほとんど痛くもかゆくもありません。このレーザーの波長は「スーパーライザー(近赤外線治療器)」と同様で、整形外科やペインクリニックで肩こりやリウマチなど痛みを緩和するために使われることもあるものです。
そもそも「スーパーライザー(近赤外線治療器)」は狙ったところの血行を促進させたり炎症を抑え症状を和らげる効果を持った医療機器です。それと同様の波長の光を使った「ヘアーマックス」はAGAなどの原因となる頭皮の血行不良を緩和したり炎症を抑えることが期待できるのは当然かもしれません。
AGA治療の有効成分「ミノキシジル」も同様の効果が期待できますが「ヘアーマックス」は低出力レーザーですので、副作用の懸念がほとんど必要ないところが大きなメリットと言えそうです。
ヘアーマックスはハンドタイプとバンドタイプがある
FDA認可低出力レーザー育毛機「ヘアーマックス」は頭に乗せて使うタイプと手に持って照射するタイプなど、機種は全部で六種類ラインアップされています。値段は最上位機種が108900円 、最もリーズナブルなもので38400円 (すべて税込)となっています。
種類による違いは値段によるところだけでなく、照射できるレーザーの数の多さとともに、頭に乗せて使うタイプかハンドタイプかといった差があります。上位機種のほうが照射できるレーザーの数が多いため、使うにあたっても時間が短縮できるようになっています。使い方としては週に三回ほどの使用で照射時間は機種により90秒~11分程度(上位機種になるほど時間は短縮)となっています。
またヘアーマックスは先ほど少し触れたように大きく分けて「バンドタイプ」「ハンドタイプ」の二種類がありハンドタイプは手に持って使うタイプで、バンドタイプのほうがレーザーの数も多いうえ、頭に直接のせて使うことができより使いやすくなっています。ただしバンドタイプの方が値段は高額になります。
ヘアーマックスの使い方
次にFDA認可低出力レーザー育毛機「ヘアーマックス」の使い方を確認してみましょう。
- ハンドタイプは一か所につきおよそ4秒照射する
- 4秒経つとバイブ機能が働きブルブルと震えるので次の箇所にずらす
- 薄毛が気になる部分すべてにこのサイクルでレーザー照射する
※バンドタイプは頭に乗せ30秒でビーブ音かバイブでお知らせしてくれる
基本的にはとにかく薄毛が気になる場所に当てていくだけとなっています。ハンドタイプもバンドタイプも週に三回気になる部分を照射していくだけですので、どの機種を選んでもさほど使用に関して負担感はなさそうです。
AGAのレーザー治療の効果
AGAなど薄毛に悩む方のレーザー治療による実際の効果がどれほどのものなのか、ここでは確認してみましょう。
レーザーによる医療行為で確認されている効果
レーザーを使った医療行為では、実際に以下のような効果が確認されています。
- ミトコンドリアの細胞内の器官の活性化
- 細胞分裂の促進
- 炎症を起こしているサイトカインの減少
- ATP(アデノシン3リン酸)を作り出し細胞を活性化する
- 毛包幹細胞や毛包上皮細胞の活性化
- 抗炎症サイトカイン(TGF、IL10)の増加
レーザーはAGAなど薄毛の治療だけでなく整形外科やクリニックなどでも、医療的な治療として使われているものであり、外用や内服などの治療薬のように副作用のリスクがほとんどないことも魅力といえます。なのでミノキシジルやフェナステリドなどが既往症で使えない方でも治療が進められます。治療薬で効果が実感できなかった方はレーザー治療を検討してもよいかもしれません。
AGAに対してのレーザー治療の作用
AGAなどのレーザー治療は先ほども少し触れたようにATP(アデノシン3リン酸)を作り出し活性化することが分かっています。AGAによる脱毛の場合は毛根の部分で髪を作りだすために必要なATP(アデノシン3リン酸)が減っていくことも大きな要因となっているため、ATP(アデノシン3リン酸)を作り出し活性化してくれるレーザー治療は有効と言えます。
発毛を促すには「血行促進」が重要とも言われていますが、さらに言えば「血管を拡張し循環を上げる」ことがより大事とされています。
レーザーを使うと照射した所の血管新生効果(血管が拡張される効果)があるため、よりダイレクトに効果的に薄毛治療が進められると考えられます。
レーザーで効果が実感できる目安は半年後
薄毛が気になる部分に効果的にアタックできるAGAのレーザー治療ですが、効果が実感できるのはどのくらいの時期なのでしょうか。低出力レーザー育毛機の公式サイトやAGA専門クリニックによると、レーザー照射により早い人でだいたい「三か月後」くらいから効果が実感できると記載されています。
ヘアサイクルは年単位で推移しているものですので、一か月など短期間ですぐ効果が実感できるとは言えないものなのでしょう。でも遅い方でもおおよそ半年ほどで発毛を実感できるようですので、焦らずじっくり進めていく方が良いかもしれません。
AGAのレーザー治療はどんな人に効果的か
次に薄毛治療に効果的とされるレーザー治療が適した人はどういった人か確認してみましょう。AGA以外の薄毛の人にも効果があるようです。
AGAによる脱毛症の方
当然のことながらレーザー治療は、AGA(男性型脱毛症)による薄毛の方にとても有効です。男性ホルモンによる原因の薄毛がAGAですが、血管を拡張しATP(アデノシン3リン酸)を生成、細胞を活性化してくれるレーザーはとても効果的な治療と言えます。
同様の効果をミノキシジルやフェナステリドの薄毛治療薬で得ることもできますが、既往症によってはこのような薬が使えない方もいます。副作用を気にすることなく薄毛治療に専念できるレーザー治療はとても有効な方法と考えられます。
AGA(男性型脱毛症)は早めのケアが大切。ミノキシジルなど市販の育毛剤でも効果がありますが、皮膚科でプロペシアなどの治療薬を処方してもらうこともできます。
びまん性脱毛症・慢性休止期型脱毛など女性の薄毛にも
昨今女性も薄毛で悩む方が増えています。女性の薄毛には女性ホルモンである卵胞刺激ホルモンや黄体刺激ホルモンといった「性腺刺激ホルモン」が低下していることによっておこる薄毛もあります。女性の薄毛の場合は薄毛の内服薬や外用薬が使えない場合も多いですが、レーザー治療なら安心して進められます。
ストレスなどによる円形脱毛症(十円ハゲ)にも効果的
円形脱毛症は過度のストレスや生活習慣の乱れなどにより突然引き起こされるものと言われています。毛根部分の本来必要な自己抗原を身体の中の防御機能「CD8陽性Tリンパ球」が排除すべきものと間違えて攻撃してしまうことで髪が抜けてしまう自己免疫疾患です。
慢性的に精神的負担が続くことなどで交感神経だけが刺激を受け続けてしまい、副交感神経とのバランスが崩れてしまうと、血液循環が悪くなり毛母細胞の働きが妨げられてしまいます。レーザー治療を行うと血管を拡張しATP(アデノシン3リン酸)を作り細胞を活性化してくれるため、円形脱毛症の早期改善も期待できます。
AGAなどのレーザー治療の課題
アメリカFDAからも認可されているAGAなどの薄毛のレーザー治療ですが、課題もないわけではありません。ここではAGAレーザー治療の今後の課題について確認しておきましょう。
ある程度まとまったコストがかかる
有効成分の外用薬にしろ、レーザー治療にしろ薄毛の治療は基本「自費」ですので、どうしても経済的な面での負担が大きくなりがちです。ざっくりAGA専門外来などの月額費用を確認してみても1万円前後から数万円といった金額となっており、AGAのレーザー治療を行っているクリニックの金額も、はがき大のレーザー照射範囲で2万円といった金額ですのでかなり高いコストがかかると言えます。
原因が複数ある場合効果があまり実感できないことも
また93%もの高い確率で効果が実感できるとされるAGAレーザー治療ですが、必ずしもすべての人に効果があるとは言えない面もあります。AGAなど薄毛の原因はひとつではなく、複数の要因が絡み合っている場合が多いものです。なので頭皮環境や血行不良といった面はレーザー治療で対応できても、他の要因が邪魔をしていると効果が実感できない場合も出てくると考えられます。
レーザーのみに頼るのではなく他の要因がないか考え、平行して対策をしていく必要があるかもしれません。
気長に続ける必要がある
かなりの高確率で効果が表れているAGAのレーザー治療とはいえ一回や二回で劇的に効果が表れるわけではありません。専門のクリニックのレーザー治療でも家庭用のFDA認証のレーザー育毛機でも早くて三か月ほど、平均して半年以上経たないと効果が表れてこないものです。
なのでコツコツ気長に治療をさぼらず続ける必要はあると考えるべきです。レーザー治療を進めるならクリニックを選ぶ際も、通いやすさについても重視すべきかもしれません。
AGAレーザー治療は時間やコストが気にならなければおススメ
AGAをはじめさまざまな薄毛の悩みにも効果が期待できるレーザー治療ですが、課題もあることが分かりました。日本の厚生労働省に当たるアメリカFDAでも認められているものですので、レーザー治療を受ける時間やクリニックに通う時間、かかるコストが気にならない方にはおススメできる治療と言えます。
FDAに認可された家庭用の低出力レーザー育毛機もそれなりに高額ですが、一度買ってしまえば家で気軽に薄毛のレーザーが可能ですので、思い切って使用を検討してみてもよいかもしれません。