漢方女性の抜け毛対策

冷え性と抜け毛の関係~有効な対策は?

冷え性の女性

特に女性にありがちな体質といえるものに「冷え性」「手足が冷たい」「貧血ぎみ」といったものがありますが、実はこういった「冷え」は薄毛とも密接な関係があるのはご存知でしょうか。
ここでは冷え性と抜け毛の関係や、冷えを改善するためにできる有効な対策について詳しく解説していきます。

冷え性と抜け毛は、切っても切れない関係!

そもそも女性の二人に一人以上のかたが感じているという「冷え性」とは、どういう状態をいうのでしょうか。人間の体は血液などがしっかり体内をまんべんなく循環し筋肉などとかかわって「熱を造り出す」ものだそうです。男性は筋肉量が女性より多いものですから、基本的に「体温が高め」なのです。

しかし女性は逆の状態なため多くのかたが冷えを感じやすい、すなわち血液の循環が悪く末端の血管まで充分に血液が行き届かない状態になりやすい…ということが言えるのです。このようなことから手先や足が冷える、腰が冷たいだとか肩こりや頭痛に悩まされるといった問題が起こるのが「冷え性」というものです。

いっぽうで抜け毛の原因のひとつに「血液循環が悪いこと」が挙げられます。毛根まで充分に血液が行き届かないことで必要な栄養素が運ばれず髪が細くなり、やがて抜けていく…冷え性も抜け毛も「血液循環の悪さ」が大きな要因であり、切っても切れない関係といえるものなのです。

冷え性と抜け毛の原因「血液循環」今すぐできる改善策

血の巡りがよく血管が柔らかく詰まっていない状態であれば、人間は健康に過ごすことができると言われています。冷え性や抜け毛に関してもこれは共通していることで、さらに生活習慣病や高血圧といった現代病も極端にいえば血液循環がこのように正常になれば改善するとさえ言えます。
では冷え性や抜け毛の大きな原因である「血液循環」はどういったことで改善ができるのか、確認してみましょう。

食生活の見直し~体を温める食材をとり入れる

まず真っ先におすすめしたいのは「食生活の見直し」です。食べるものや飲むものによって体内のバランスはとても影響を受けるものですので、自身の毎日の食のスタイルのなかに「冷えを助長しているものがないか」確認してみましょう。

  • 野菜の摂取はレタスやトマト、きゅうりなど生野菜が中心
  • 冷たい飲み物を好んで飲む
  • 朝ごはんはスムージーなどで軽く済ませている
  • 朝は少しでも寝ていたいので食べない

実は食べ物のなかには「体を冷やすもの」「体を温めるもの」があります。生野菜など野菜のなかにも体を冷やしてしまうものと、逆に温めるものがあり、他の食材も同じように冷やすものと温めるものがあります。さらに生で食べる野菜は冷たく体内に入る時にも熱を奪われる感覚になるものです。同様に冷たい飲み物を飲むことが多いかたも、体を冷やす習慣と言えますのでできるだけ気を付けるべきです。

さらにスムージーなどに使われる果物や野菜も体を冷やすものが多いうえ、スムージーそのものも冷たいので朝上げておきたい体温が上がらない、ということになってしまいます。朝ごはんを食べる習慣がないという方もさらに問題で、体内にエネルギーが入ってこないことで、毎日ずっと体温が上がってこない状態を続けていることになっている…と言えます。

ちなみに「体を温めてくれる食べ物」は以下のようなものがあります。

根菜類など にんじん・たまねぎ・れんこん・ごぼう・生姜・かぼちゃ山芋 など
果物類など  プルーン・ぶどう・りんご・いちじく・オレンジ・あんず・
さくらんぼ・桃 など
香草・葉もの野菜など ねぎ・にら・ふき・にんにくの芽・にんにく など
その他の食材・調味料など  こんにゃく・佃煮・塩・赤唐辛子・味噌・黒砂糖・しょうゆ・ラー油・唐辛子 など
魚介系   ちりめんじゃこ・明太子・鮭・かつお・まぐろ・さんま・サバ・
カニ・イワシ・ほたて貝・海藻類 など
肉系 牛肉・鶏肉・ラム肉・鹿の肉・鶏レバー・赤身系の肉 など

その他体を温めやすいメニューを積極的に摂り入れることも大切です。朝は味噌汁やスープものなどを用意するだけでも、食べている間にも自覚できるほど体は自然に温かく感じます。できるだけ温かいものをいただく、水ではなく白湯や温かいお茶を飲むなどということも、冷えの改善には良い心がけといえるかもしれません。

毎日適度な運動や体を動かすことを心がける

普段あまり動かない方にとっては「耳の痛い話」かもしれませんが、毎日適度に運動を取り入れることも血液循環の改善には欠かせないポイントです。例えば簡単なところで言えば毎日の暮らしのなかで掃除機を15分程度かけるということだけでも、けっこう体を動かして温まる感覚が実感できるものです。

こういったことでも血の巡りに違いがでるわけですから、意識して歩くとか動くことを心がけるだけでも筋肉が動き、末端の血管は刺激されていきます。とにかく「動こう」と意識をすることが大事です。

積極的にトレーニングして筋肉をつける

運動部に所属した経験がない場合ですと、最近では男性でも筋肉や筋力があまりないかたがいますが、筋肉の量は血液循環にかなり大きな影響を与えるものですので、積極的に筋力アップのトレーニングを行うことで男女問わず血液循環の改善の効果が大いに期待できます。

筋肉アップといってもマッチョな男性がやっているようなウエイトトレーニングなど、本格的なことをやる必要はもちろんありません。超初心者向けの段差の昇降であるとか、ボックスを利用したスクワッドなどできることからコツコツ取り入れて「長く続けること」が大切です。

自分でも簡単にできるお灸も効果的!

また血流の改善が期待できるものに「お灸」というものがあります。馴染みがないかたはなんとなく「ほんとに効くの?」と疑問に思うかもしれませんが、人間の体には多くの「ツボ」があり、その中には血行促進が期待できるツボもあるのです。お灸は熱そうとかなんとなく古臭いような印象を持つかたもいるかもしれませんが、最近では熱さをやわらげたものも出ていますので試してみてはいかがでしょうか。

ワンタッチタイプのお灸のやり方

  • ツボの場所を確認する
  • 裏側の剥離紙をはがしてツボにはる
  • 注意しながらチャッカマンなどで火をつける(火をつけてから貼っても可)
  • 火が消えるまでそのままの状態で静かにまつ
  • 消えてからもしばらく熱いので取り除くときは気を付ける(熱くなくなるまで置いていても可)

血行改善や冷えに効果が期待できるツボをいくつかご紹介しておきましょう。

三陰交(さんいんこう)

三陰交は水分の代謝や消化吸収、さらに生理機能などの重要な経路が交わっているポイントのツボです。このツボへのお灸は「気」や「血」の改善の効果が期待できます。
ツボの場所は内側のくるぶし部分の最も高い部分に小指を添えてみて、指の幅四本分きれいに揃えたときに「人さし指のところ」です。

湧泉(ゆうせん)

足の裏にあるツボで足の冷えとともに頭の血行を促進する効果も期待できるツボが「湧泉(ゆうせん)」です。頭皮の血行改善を促したいかたにおすすめのツボと言えます。体のだるさやつかれだとか、不眠にもいいツボです。
ツボの場所は足裏を見て足でじゃんけんするイメージで「グー」をした形のときに中央の指に近いところの最もヘコミが出ているところです。

手足のマッサージも末端の冷えに効果あり!

手足が特に冷えやすいかたは、ハンドクリームやオイルなどを利用してマッサージするのもおすすめです。手の場合ですと手のひらの真ん中をグッと押して圧を加えてみたり、指一本一本を少し力を込めて握ってすっと抜くようにするといったマッサージを数分間行うだけでも、手がぽかぽかしてきます。

また足も同様にくるぶしとアキレス腱の間あたりを親指でグッとおよそ5秒ほど押し、ゆっくりを離す動作を繰り返すなどすると血行改善に効果的だそうです。ふくらはぎなどを自身が気持ちよい力加減でマッサージするのもよいでしょう。

足湯やバスタイムで効果的に冷え解消!

毎日忙しくてお風呂に入るのが面倒…そういった状態になると冷えはますますエスカレートしてしまいます。洗面器に少し熱めのお湯をはって足をつけるだけの足湯も体全体の血流の改善になりますので、どうしてもお風呂が苦手な場合は足湯にトライしてみましょう。

もちろん毎日お湯をきちんとはってお風呂に入るほうがより血行促進の効果は増します。

最近では重曹とクエン酸をパラパラと入れるだけの簡単な「炭酸風呂」も流行しています。炭酸風呂は血管を広げて血流を促す効果があるため、このようなお風呂を利用するのもおすすめです。

冷え性での抜け毛には漢方薬での体質改善もおすすめ!

また食生活と同様に「体内の環境を改善して血液の巡りを良くする」方法として有効なのが「漢方薬」です。漢方薬はさまざまな自然由来の生薬を使ったものですので、即座に改善するというものではないものの「緩やかに体質の根本改善」が期待できるところがポイントといえます。

血液の巡りを良くしてくれる生薬は以下のようなものがあります。

延胡索(エンゴサク) エンゴサク(ケシ科)の魂茎
黄芩(オウゴン)  コガネバナの根
威霊仙(イレイセン) シナボタンヅルの根

さらに抜け毛や冷え性の改善に効果が期待できる生薬がバランスよく配合された「漢方薬」は以下のようなものがあります。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

抜け毛に関わらず血流の改善に有効と言われる漢方薬の代表的なものがこの「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」。女性の場合ですと月経に関するトラブルなど婦人科で処方されるケースもある漢方薬です。子宮に起こっている炎症を抑えたり血の滞りを促す効果、そしてホルモンバランスの改善のためにも効果的なものと言われています。
この漢方薬を使い生活習慣を整えることで毛根にしっかりと血液が行き渡れば、必要な栄養素も届くようになるため抜け毛の改善が期待できるかもしれません。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

仕事や人間関係などでストレスがかかりやすい方におすすめなのがこの「加味逍遥散(かみしょうようさん)」です。ストレスによっても血行不良が起こることが多いものですが、そういったケースの血液の滞りを促し、それにより体温を上げていきます。

さらに個人差によっては顔はほてるのに足や下半身が冷えやすいという場合がありますが、そういった場合にも効果的な漢方薬といわれています。ストレスでの抜け毛に体の中から優しくアプローチすることができます。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

血液の循環とともに頭皮の環境にもよい漢方薬もあります。この「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」は体にこもってしまった熱だとか炎症を取り除く作用で皮脂分泌を促進し、毛穴のふさがりを正常化するといった働きが期待できます。頭皮環境を体内から改善したいというかたにぴったりな漢方薬です。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

これらの漢方薬はいわゆる「血虚タイプ(血が充分とはいえず不足しているかた)」のかたにおすすめの漢方薬です。血のなかの鉄分が不足するとしっかりと血流が体の隅々まで行き渡らなくなってしまいます。そうすると毛根にも栄養素が行き届かない状態となるため、抜け毛が進んでしますのです。これらの漢方薬は緩やかに貧血状態の改善を促し、体を温める効果があるため、むくみに悩む方にもおすすめです。

冷え性は抜け毛の原因になる!多角的に改善を

抜け毛と冷え性の関係性について詳しく見てきました。冷え性は「血行不良」も大きく関わっているため、そのような原因をなくしていくことが抜け毛予防には必要といえます。何気ない毎日の生活のなかで冷えやすい体にしてしまっている原因が思い当たったかたは、まずはその部分から対策していくことをおすすめします。

できることからでいいですので、生活習慣や食習慣など外側からも内側からも多角的に血行を促進していけるよう心がけていきましょう。